[第2章-3] 蛍光灯のグリーンかぶり

蛍光灯は屋内の照明機材として広く使われている。しかし、デーライトタイプのポジフィルムでは全体が緑色っぽく写ってしまう。蛍光灯自体の色温度は6500Kであり、上記の法則に当てはめれば青っぽく写るはずだ。

しかし、蛍光灯の光が緑色に写ってしまうのは色温度の影響ではなく、蛍光灯が発する『輝線スペクトル』による影響である。蛍光灯以外にもガス灯や水銀灯などでも、色温度の法則に当てはまらない色かぶりを起こす場合がある。写真用ではない街中の人工光源はそのような場合が多い。

ノーフィルターで撮影すれば緑色に写ってしまう蛍光灯だが、それを補正する『FL-W』などの専用フィルターを買えば、正しい色合いで撮影することができる。マゼンタ系のカラーフィルターでも同様の効果がある。但し、蛍光灯の種類やフィルムの銘柄によっては、微妙な色合いが違うので厳密に補正するには数回以上のテスト撮影が必要になることもある。