レンズを分解するとわかるが、現代のレンズはマイクロチップなどの膨大な回路があって、まさにコンピュータだ。レンズというのは繊細な製品であり、現代の技術でも、大量に生産しているうちにレンズの厚みなどに細かな誤差が出てきてしまう。そのため、同じ型番のレンズであってもピント傾向が違ってくる。
そのため、レンズメーカーはどのような工夫をしているかというと、ソフトウェアによりピントデータを変えることによって、ハードウェア特性の違いを埋めるようにしている。1,000台~3,000台くらいの単位で、同じようなピント傾向で出来上がったレンズをグループ分けし、それぞれのグループごとにピントデータを作り込む。
この作り込みは、チャートなど一定の被写体をAFで大量に撮影し、一定の許容値になるように調整をしていく。ズームレンズの場合は、28-80mmのレンズであれば、28mm、35mm、50mm、80mmなどの代表的な焦点距離ごとに撮影を行う。中間の焦点距離は計算で割り出す。同じレンズであっても、ピントが合いやすい焦点距離もあれば、そうでない焦点距離があったりするのは、そんな開発側の都合があるためだ。
テクニットというほどではないが、上述のようなキリのよい焦点距離を使ったほうが、AFに限らず、あらゆる部分の性能が高い場合がある。
テスト撮影での被写体は、シマシマ模様などのチャート撮影が中心ではあるが、街並みの風景や、走行している電車などを撮影するフィールドテストも行う。何度も何度もテスト撮影しながら、ピントデータは作り込まれる。同じメーカーのボディであっても、世代、入門機、高級機などのシリーズごとに利用されるピントデータは別物である。そのため、レンズのROMには、複数のボディ向けのピントデータを収録している。
今時のレンズはAFを含め、あらゆる部分がソフトウェアで制御されているため、対象ボディのデータが含まれていない場合は正常に動作させることができない。