[第3章-6] そのレンズが持つ特性を知ろう

現在売られている入門用の一眼レフカメラのセットなどでは、大抵はズームレンズが付属してくる。しかし、ズームレンズにはいくつか欠点がある。人間の視野角を基本とした50mmでの撮影技術を身につけたうえで、自分の写真の方向性や好みの被写体などを考慮した上でズームレンズを導入するなら、何ら問題はない。狭い室内で動く人物を撮ったり、自然の中で動物を撮ったりする場合は、ズームレンズでの撮影が有利である。そのような場所では単焦点レンズははっきり言って向かない。プロでもスポーツ撮影や、過酷な条件下での撮影が常となる新聞社のカメラマン、結婚式や運動会などのスナップ写真を撮っているカメラマンにはズームレンズのニーズは高い。

しかし、時間的にも場所的にも、じっくり被写体と向き合うことができる条件なのに、自分が動かずに安易にズームに頼ることを目的するズームレンズ使用には賛成できない。そのような安易な考えでは、たとえ最高の被写体に出会えたとしても、他人を納得させられる作品はもちろん、自分自身すら納得できない、何の変哲もない写真しか撮れない可能性が高いように思える。ズームレンズは単焦点レンズと比較して、一部のプロ用高級レンズを除けば、逆光に弱く、F値も暗めで、ボケ方の描写が評価が一般に悪いことなどは、ズームレンズの短所として挙げておかなければならない。

レンズは被写体と向き合うための目である。焦点距離や描画の特徴など、そのレンズが持つ特性を十分に知り、その特性を生かして作品の撮影に望んでいくべきである。