[第3章-2] 被写体と徹底的に向き合う

第1章と第2章にて、絞りやシャッター速度、色に関しての基本について説明したが、それらは実撮影を繰り返していくうちに、ある程度のレベルまでは遅かれ早かれ身に付くはずである。その次の段階で重要となるのが被写体と向き合う姿勢についてである。撮影に出掛けた時、撮影する気がない時はカメラはバッグの奥にしまっていても構わない。

しかし、いざ『これだ』という被写体に出会った時、2~3秒以内に取り出してシャッターを切ることができるだろうか? 電池とフィルム(デジカメではメモリーカード)、その場所で使う可能性の高いレンズとフィルターを予めセットしておけば、例えバッグの中にいれておいても、取り出せばすぐに撮影することができる。バッグはカメラ専用のものである必要は全くないが、リュックサックだと取り出すのに時間がかかるため、ショルダーバッグタイプの方が有利である場合が多い。

スタジオでの商業撮影を除けば、予定調和の撮影というのは少ない。自分にとっていわゆるシャッターチャンスが訪れる可能性が高い場所にいる時は、利き手にストラップを手首に一周させた状態で常に手にした状態で持ち歩こう。ストラップを巻くのはブラブラしていると格好悪いというのと、力が緩んでカメラを地面に落とさないようにするためなどである。露出や撮影モードなどの設定はあらかじめしておき、電源を入れるだけですぐ撮影できるようにしておく。治安の悪い外国などではひったくりの可能性もあるので状況により使い分けるべきだが、良い被写体に出会った時にバッグから取り出すのに時間がかかっているようではチャンスを逃すことになる。

そして『これだ』という被写体に出会った時には、一度や二度のシャッターだけで撮影を終了してはいけない。絞りや露出を変えてみたり、背景とのバランスを変えてみたりと、時と場の状況が許す限り、様々なバリエーションで撮影してみるべきである。何が何でも“この被写体で作品を作る”という気持ちを撮影中は忘れてはならない。同時に“この被写体では作品を作らない”という中止選択も撮影には必要な場合がある。